2013年05月07日

『おばけにょうぼう』について。

イーストプレス編集部の筒井さんから
『おばけにょうぼう』の依頼をいただいたとき、
これはわたしには描けない、と思った。
すべてのお仕事依頼に対していつもそう思うけど、
今回はとっても強くそう思った。
おばけ(妖怪)っていうのはキャラがたってるし、
キャラクターものは苦手だし、描きたいと思わないし、
登場人物が多すぎるし、それかそれから・・・
描けない理由が出て来るわ、出て来るわ。

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じゃあいったい何なら描けるのさ


それに対して筒井さんからのお返事は
「マンガ的というよりは、きれいで怪しい雰囲気のあるものにしたい」
「妖怪はキャラっぽく扱われてるものが多いけど
なにか特定の妖怪というよりは漠然と“異形のものたち”という感じで」
というものだった。

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いけい?


この“異形のものたち”っていう表現に反応。

以前、東雅夫さんからいただいた『幽』の「猫の怪」特集号、
その中に「哀しき異形、猫娘のお玉」というキャッチがあった。

妖怪って、
お化けって、
バケモノって、
そうか「異形」なんだ。
人間からみて形が異なるものたちのことなんだ。

異形だから怖がられたり気の毒がられたりするけれど、
『おばけにょうぼう』のなかの「異形」たちは
とても楽しそうにすごしてる。
『おばけにょうぼう』のキャッチコピーは
「楽しき異形たち」だな、と思ったら目の前が開けた。

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みんな異なる形だもんねぇ


人間からみたら異形、
ただそれだけの理由で
こそこそ隠れて生きる必要もないし、
鬱々と暮らす理由もない。

きっとみんな楽しく生きてるに違いない。
彼らからしたら
人間のほうが異形なんだから。

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人間って皮膚見えちゃってるよねー


文章をかかれた内田麟太郎さんの
懐の深さにもずいぶん助けられた。
わたしが提出したラフをご覧になって
「こんなにイメージがずれたのは初めてです。
でも、そこが面白くて「深いなあ」と感心しています。
この深さに付き合ってみたいと思っています」
と言ってくださったのだ。
「イメージと違う」から「ダメ」なのではなくて、
「そこが面白い」と言ってくださった内田さん。

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人間の大きさを感じました


内田さんも筒井さんも、
自由に考えて描いていいと最初っから言ってくださってたのだ。
筒井さんからのメールを読み返してみても
ずっとそういう意味のことを書き続けてくれていた。

なのに、自分の中で納得するまでに時間がかかってしまった。
きっとおふたりとも
「だから最初からいってるのにーっ!」
と思ったことだろう。

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呆れちゃうね


うまく言えないけれど、
スイッチが入る瞬間がある。
『うらしまたろう』のときも
『いるの いないの』のときも
『おばけにょうぼう』のときも。
描けない、無理、できません・・・の後ろ向きな期間を経て、
ある時なにかをきっかけに
「いけるかも!楽しいかも!」
となるのだ。

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スイッチは偶然に入るのね


『うらしまたろう』は
四季の部屋の美しさで、
『いるの いないの』は
おばあさん家が猫屋敷だったことで、
そして
『おばけにょうぼう』は
娘が猫又を飼ってることで、
一気に楽しくなってスイッチが入り、
これなら描ける!
これは描きたい!!
描かせてください!!!
と思うようになったのだ。

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妄想炸裂ですか


『おばけにょうぼう』のバケモノ達は、
もしかしたら怖いほうが良かったのかもしれない。
読んだひとが「全然怖くないじゃん」って
がっかりしたかもしれない。

でもわたしにとって、ここに出て来るバケモノ達は
どのコもみんな愛おしくかわいいのだ。
白木のことが愛おしくかわいいのと同じように。

『おばけにょうぼう』のなかには
悪いバケモノも怖いバケモノも出て来ない。
見た目がちょっとばかり個性的なだけ。

眠れない夜は
バケモノ達の宴会に参加させてもらえばいいじゃないか。
そんな気持ちで楽しく描いた。

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白木っぽいのもでてるよ〜


『おばけにょうぼう』、
書店で見かけたら、ぜひ読んでみてください。
絵本ナビでは
全ページ試し読みもできます。



京都のnowakiで開催中の個展では
『おばけにょうぼう』の原画5点を展示しています。
絵本も缶バッヂ付きで販売中。
『うらしまたろう』『いるの いないの』も販売してます。
7,8日はお休みで、
9〜12日迄、11時〜19時迄です。

『いるの いないの』の原画は
金沢の石川近代文学館にて全点展示中です。
はじまりのものがたり 絵本の世界 [前期]怪談えほん原画展
こちらは15日まで、9時〜17時まで、
会期中無休で開催してます。

posted by inukaki at 20:00| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月03日

個展・・・京都nowakiにて。

京都にある器と本のお店nowakiで個展。
東京以外で個展をやるのは初めて。
そして企画展は、
ガーディアン・ガーデンのセカンドステージ展以来、
今回が二回目。
ありがとう、nowakiさん。
(※企画展というのは、ギャラリー主催の展覧会のこと。
企画展以外の展覧会は作家がギャラリーをレンタルして開催する)

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nowaki×ミロコマチコてぬぐい

「展示会場を見る」というのを言い訳にして、
京都まで行くことにした。
当初、日帰りを考えていたけれど、
4月に金沢行った時に
初めてシッターさんを頼んで
白木に留守番してもらったら、
なんだか全然平気そうだったので、
じゃあ一泊!ということに。

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ご勝手に〜♪

新幹線で2時間。
意外と近いんだね、京都。

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静かでいいわ〜♬

品川から新幹線に乗ろうとしたら
「磁気異常」で切符が通らなかった。
さっそく変な磁気を発してるんだろうか、わたし。

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PASMOもクレジットカードもポイントカードも…

いいお天気だったので
富士山見えるかな〜と
じっと車窓をみつめているうちに名古屋着。
あぁ、富士山側の席じゃなかったんだ・・・とがっかり。

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それはどうかな

が、後でT井さんに聞いたら、
わたしが座ったのは、しっかりと富士山側だったのだ。
なんで見えなかったんだろう?
大きすぎて気づかなかったのかなぁ。
それとも一瞬寝落ちしてたのかなぁ。
謎。

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心のきれいな人にしか見えないのかもよ

京都からnowakiのある三条京阪までは
わりと上手に乗り換えできたのに、
三条京阪からnowakiまでの道を大きく間違えた。
途中で電話して助けを求め、
もう一度駅まで戻ってやりおなし。
京都から三条京阪よりも、
三条京阪からnowakiまでのほうが時間がかかってしまった。
(迷子の達人・Hさんがちゃんとnowakiにたどり着けたことが不思議)

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みなさん、地上に出たら右へ行ってください

nowakiはホントに普通のお家みたいな入り口で
ガラガラと格子戸を開けてコンニチワ。
和室と板の間の空間に自分の絵が並んでいた。

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やっと京都、やっとnowaki

しかし、
そんなことより、なにより、
寺門広気さんの器が見たい!
ということで、到着早々ひとりで寺門祭り開催。
もぅ全部素敵!
いいのか、この絵は!
ありなのか、この絵は!
今回はマグカップを買おうと決めていたのに、
それでもかなり迷って、
猫の絵のマグカップにした。
うーん、ちょっと大人しすぎたかなぁ。
もっとつきぬけてるのにしたらよかったかなぁ。
でもまぁ、寺門初心者としてはこの辺でいいか。

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木陰の猫

これで京都へ来た目的達成。

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反対側は松(?)と鳥

2日は平日だったせいか
あんまり人も来なくて
ぼーーーーっ。

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白木はそのころシッターさんと・・・

夜、T井さんK池さんとご飯。
サバ寿司、うまっ!うまっ!うまーっ!
でもサバ寿司は
ひと切れ(一握り?)で十分になのが悔しい。
気持ち的には5個ぐらい食べたいのに。

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白木が好きなのはササミ(ペット生食用)

店にいたダメダメ店員(たぶんアルバイト)の行動を
みんなで観察。
彼に注文したものはほとんど通らなくて、
途中でしっかりお皿を割っていた。
まるでマンガに出て来るダメキャラそのもの。
ここまで来るとすごい。感心する。
「きっと誰か(店員)の親戚とか息子なんですよ」
とはK池さんの読み。
「そうじゃなかったらクビになってるはずです」
たしかに。

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白木はひとりの夜を満喫

3日も晴天。
四条付近の朝ご飯をネット検索して出て来た
前田珈琲店でモーニング。
K池さんにお借りした京都観光雑誌を見て、
ぶらぶらと三条まで歩くことにした。

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たまには歩け


GWだけど、
そんなに人が多い感じはしない。
というか、
金沢と京都に来て思ったけど、
東京は人が多すぎる。
そして空が狭すぎる。
「東京には空が無い」と言った智恵子の気持ちがよくわかる。

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ちえこ・・・

以前、とある地方で
「東京、つらくないですか?」と聞かれたことがあった。
その人は学生時代を東京と大阪で過ごしたあと
地元に戻って働いてる人だった。
そう聞かれても、わたしは東京にしか住んだことがなくて
どのへんが辛いのかわからなかった。
いま、ちょっとわかる気がする。
東京(都心)は息苦しいかもしれない。

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ずっと居るとわからないものだね

金沢も京都も都市で、
東京都心と同じように店もいっぱいあって
電車もバスも走ってて
生活していて不便なことは全然無さそう。
でも都心より空間があるように感じる。
京都では、街中から山が見えた。
金沢も京都も、東京都心部に比べたら空が広かった。

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東京も奥多摩あたりは空が広いけどね

そんなことを思いながらブラブラ歩いてて、
本当は恵文社に行こうと思ってたけど
面倒になってきたのでそのままnowakiへ。


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実は相当なめんどくさがりです

nowaki近くにあるお寺が
「招き猫発祥の地」とうたってるらしく
そこで売ってる黒い招き猫を買いに。
でも、どこが売り場なのかまったくわからず、
結局T井さんについてきてもらって再訪問。
「ここ、開けていいんですか?」という玄関をあけると
中は売店みたいになっていて、
招き猫を織ったお守りとか、
招き猫金太郎あめとか
結構貪欲にグッズも作ってた。
なのに全然外に向かって開いてないのはナゼだ・・・。

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わかりにくいけど、かなりのオッサン顔です

3日は祭日ということもあり
結構たくさんの人が来てくださった。
ツイッターを見ていてくださるかたも多くて
『おばけにょうぼう』のオマケのバッヂを選ぶ時に
「白木のほうを…」と言ってるのを耳にして嬉しくなった。
ただの家猫なのに
知らない人の口から白木の名前が〜!!!!

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まぁね〜♪(いきなりドラミ)

ひとりの青年が
「海コケシがまだ残ってるなんて奇跡です!」
と言って購入してくれた。
安いもんじゃないし、そりゃ悩んでいた。
ずっと悩んで、何度も手にとってみて、
「どうしよう」って何度もつぶやいていて、
その心の道のりも、なんだか嬉しかった。
本当にこのコケシを欲しいと思ってくれたんだなー。
海コケシ、あなたは絶対幸せになれるね。

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この子をどうぞよろしくお願いいたします

作品は売れないけど、
『おばけにょうぼう』は売れていた。
缶バッヂも喜んでもらえて嬉しい!
書店でもこのぐらいの勢いで売れてくれればいいのに〜。

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原画5点展示してます

怒濤の数時間を過ごしたあと、
最後の〆に超絶面白いT橋君がご来場くださったあたりで、
さよならnowaki。
京都駅へ。

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唯一の京都観光写真

昨日のサバ寿司の美味さを思い出し、
でもサバ寿司一本は買ってももてあますし…と悩んでいたら、
しめさばおにぎりを発見。
これだったら一個買いできる。

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新幹線でいただきました

帰りも富士山側だったけど、暗くて見えなかった。
登山客のライトが一列になって山頂まで続いてるのが見えるかもと
期待したけど、全然わからなかった。

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そんなもんですかね?

nowakiでの展示は12日まで。
7日8日はお休みです。

コケシと作品集とポストカードセットは
通販してます。
詳しくはコチラ

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12日まで、K池さん宜しくお願いいたします〜!

nowaki
京都市左京区川端通仁王門下ル新丸太町49-1
地下鉄三条京阪駅1番出口
twitter@nowaki32




ここからは白木の留守番のことを。
今回、シッターさんには二度来てもらった。
2日の18時と
3日の10時。

2日は、シッターさんが帰る時に
にゃあにゃあ鳴いて後追いしたんだそうだ。
そんなこと、わたしには一度もやったことがないのに!
なんでだ白木!
シッターさんからの報告メールを読んで
地味に落ち込んだ。
白木が後追い・・・。マジカ・・・・。

3日は
ご飯は全然食べなかったらしいけど、
シッターさんがカーテンをあけたら
スタスタと窓辺にいってゴロン。
のんびりしてたそうだ。
それってわたしが居る時と同じ行動パターンだよね。
知らない人でもいいのか?白木?
そのあと、ちょっと遊んだそうで。
ふぅ〜ん。
遊ぶんだ、知らない人とも。
ふぅ〜ん。。。

お留守番を苦にしないっていうのは
置いていった身としてはありがたいけど、
そこまで心を許さなくてもよいんだよ、白木ぃ。

最初の頃の、
知らない人が来ると
ピューっと部屋の奥の隅の角に
小さくなって隠れていた白木の姿が心に残ってるから、
だからシッターさんに対しても
そうするんだろうなぁと思ってた。
でも、白木はもうあの頃の白木とは違うらしい。
ってことに今回の留守番で気づかされた。

白木は成長してたけど、
わたしは成長してなかった。

白木はもう陰気で気弱で臆病なオッサン猫じゃないんだね。
ごめんなさい。
これからは白木をひとりのオッサン猫として尊重します。

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おしまい
posted by inukaki at 20:00| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする